「家なき子特例」の改正

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コラム:「家なき子特例」の改正

  • 相続税対策・申告

    「家なき子特例」の改正

    2018/01/18

    平成30年度税制改正で私が最も注目したのは、小規模宅地等の特例の改正です。
    その中でも、いわゆる「家なき子特例」に規制がかかることになりました。
     
     
    被相続人が持っていた自宅の土地を相続で取得する場合、一定の要件を満たせば、330㎡までは評価額が80%引きになります。
    これを小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)といいます。
     
     
    土地を相続する人が配偶者であれば要件はありません。配偶者が相続すれば無条件で80%引きになります。
    また配偶者以外で被相続人と同居していた親族が取得した場合も、相続税の申告期限まで売却せずに住み続けば80%引きになります。
     
    配偶者、被相続人と同居していた親族で法定相続人に該当する人がいない場合(つまり自宅を当然に相続すべき人がいない場合)
    特別に、別居していた親族が取得しても80%引きになる特例があります。これが、いわゆる「家なき子特例」です。
     
     
    改正前までは、「家なき子特例」には下記の要件がありました。
    (1)被相続人の配偶者がすでに他界していること
    (2)被相続人と同居していた親族で法定相続人に該当する人がいないこと
    (3)相続開始前3年以内に、その人又はその配偶者が所有している家屋に居住したことがないこと
    (4)相続税の申告期限までその土地を所有していること
     
    これまでは、上記(3)の要件を満たすために、自宅を無理やり子供や親族に売却し「家なき子特例」の適用を受けていたケースがありました。
     
    そもそも「家なき子特例」は、自宅の土地の相続税負担の軽減によって、相続人の生活基盤の維持を目的としています。
    今回の改正で、自宅の土地の名義を変更して無理やり「家なき子特例」の適用を受けることはできなくなりました。
     
     
    では、具体的にどのように改正されたかというと、下記に該当する人は平成30年4月1日以後開始する相続より「家なき子特例」の適用ができなくなります。
    (1) 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
    (2) 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
     
    少し難しいですね、、、簡単に言うと、下記のような人は「家なき子特例」の適用ができなくなります。
    (1)自分で家を持っていないけど、自分の親族や会社が家を持っていて、その家に住んでいる人
    (2)昔自分で持っていた家を自分の親族や会社に売って、相続開始時にその家に住んでいる人
     
     
     税法の立法趣旨に反した節税スキームには、いつか必ず規制が入ります。
     節税対策を講じる前に、まずその制度ができた趣旨を確認することが大切だと思います。

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