個人で事業を開始する際、青色申告承認申請書を提出することがあるかと思います。
一定の帳簿要件等を満たせば、青色申告特別控除等の特典を受けることができます。
今回は、青色申告承認申請書の提出期限についての注意点を解説致します。
【青色申告承認申請書の提出期限】
(1)その年から青色申告を行う場合・・・その年の3月15日
(2)その年の1月16日以後に新たに業務を開始した場合・・・業務開始日から2ヶ月以内
では、次のケースはどうなるでしょうか?
1.ドクターが令和1年6月1日にクリニックを開業した。
2.従前から収益マンションを所有。不動産所得として申告していた。
3.令和1年分から青色申告の適用をうけるため、青色申告承認申請書を
開業から2ヶ月以内である令和1年7月15日に提出した。
一見すれば提出期限内に承認申請書を提出しているので、令和1年分から青色申告の適用が
ありそうですが、このケースでは残念ながら、令和1年分から青色申告の適用を受けることは
できません。
所得税法第144条に規定する「新たに業務を開始した場合」とは、不動産所得、事業所得
又は山林所得を生ずべき業務のいずれも営んでいない者がいずれかの業務を開始した場合をいいます。
このドクターは、従前から不動産所得を生ずべき業務を行っています。
つまり、令和1年6月1日に「新たに業務を開始した」ことにはならないのです。
上記のケースでは、令和1年3月15日までに青色申告承認申請書を提出していない限り
令和1年分について青色申告の適用を受けることができません。
「青色申告は2ヶ月以内」に提出すればOKと安易に考えていませんか?
新たに事業を開始する場合は、すでに不動産所得、山林所得があるかを確認して下さいね。